ご挨拶

第23回日本時間生物学会学術大会の開催にあたって

この度、23回目の学術大会を「生物を理解し、制御する」と題して開催させていただくことになりました。また、2年に一度、開催されている国際シンポジウムを “Towards understanding the molecular clockwork”と題して学術大会前日に開催させていただくことになりました。

近年の生物時計の研究の進展には目を見張るものがあります。従来の個々の遺伝子の働きを一つずつ理解するという次元から、システムレベル、あるいは原子レベルでの理解へと飛躍を遂げています。国際シンポジウムでは午前中に近藤孝男先生、Carl Johnson先生、村中智明先生、三輪久美子先生にシアノバクテリアの時計機構の最前線についてご紹介いただくとともに、基調講演に今泉貴登先生をお迎えして植物の開花の概日時計制御機構についてご講演いただきます。また、午後には本間研一先生、本間さと先生のご厚意により、Aschoff-Honma Prize LectureとしてJohanna Meijer先生にご講演いただくとともに、John O’Neill先生にもご講演いただきます。また夕方のセッションではシステムレベルの研究で世界を牽引されているAchim Kramer先生、上田泰己先生、深田吉孝先生、Ueli Schibler先生にご講演いただきます。国内外から著名な先生方にお越しいただくには様々な支援が不可欠ですが、国際シンポジウムは本学会とともに名古屋大学博士課程教育リーディングプログラムとトランスフォーマティブ生命分子研究所のご支援を受けて実現しました。国際シンポジウムのポスターセッションはリーディングプログラムに所属する大学院生によって運営されていますので、次の時代を担う学生の活動を温かく見守っていただけると幸いです。

学術大会は私の所属する世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)の全面的なサポートによって実現しました。ITbMでは生物、合成化学、計算科学の融合から、暮らしの在り方を変容するような分子の創出を目指しています。学術大会では特別講演IとしてITbMの拠点長の伊丹健一郎先生に合成化学、時間生物学、植物科学の融合から生まれたワクワクする研究についてお話しいただきます。さらに、特別講演IIでは、ITbMと同じ年に発足したWPI国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)の拠点長の柳沢正史先生に「睡眠覚醒の謎に挑む」と題して睡眠覚醒の中核を担うと考えられる遺伝子の同定について壮大な物語をご講演いただきます。また特別企画シンポジウムでは「基礎と応用の融合」と題して、井澤毅先生、廣田毅先生、岡村均先生に最先端の研究をご披露いただきます。さらに今大会では私の敬愛する若手研究者の皆様にプログラム委員をご快諾いただき、非常に意欲的かつ魅力的な6つのシンポジウムを企画していただきました。自分自身が心躍る大会を演出できるところが主催者の特権ですが、いずれの演題も是非聴いてみたい話題ばかりで、大会当日が楽しみでなりません。

最後に本大会の開催に際し、主催の日本時間生物学会、寄付、広告、企業展示、ランチョンセミナー などでご協賛いただいた企業および団体、またご講演いただく先生方、ポスター演題にご登録いただいた皆様、学会へ足を運んでいただく皆様、大会の準備に携わっていただいたプログラム委員、大会準備委員とその研究室メンバー、ITbM、リーディングプログラムの皆様に心から御礼申し上げます。

大会長 吉村 崇
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所

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