研究ハイライト
トリアリールメタン類の効率的合成法の開発 - パラジウム触媒が拓く連続的なベンゼン環導入反応 -
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の Cathleen M. Crudden 主任研究者と南保正和特任助教らは、トリアリールメタンと呼ばれる分子群の超効率的合 成法を開発しました。大気下で安定かつ入手容易な原料から多様な構造を有するトリアリ ールメタンを短工程で合成できるメリットは大きく、有機材料や医薬品の合成に大きく寄 与すると思われます。
概要:
トリアリールメタンは色素、蛍光プローブ、医薬品などにもみられる有用な骨格であり、近年注目を集めている分子群である。今回パラジウム触媒を用いることで安価なメチルフェニルスルホンからトリアリールメタンを効率的に合成できることを見出した。パラジウム触媒存在下、メチルフェニルスルホンとアリールハライドとの連続的なC-Hアリール化反応が進行することを見出した。また得られるジアリールメチルフェニルスルホンとアリールボロン酸との脱スルホン化を伴うアリール化反応を可能にするパラジウム触媒を見出し、様々な非対称トリアリールメタンの合成に成功した。
論文情報:
"Modular Synthesis of Triarylmethanes through Palladium-Catalyzed Sequential Arylation of Methyl Phenyl Sulfone " Masakazu Nambo, Cathleen M. Crudden, Angew. Chem. Int. Ed. 53, 742-746 (2013)
リンク:
- プレスリリース
- 化学工業日報「名大 トリアリールメタン 工程短縮し効率合成」(2013.12.06)
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2013-12-05