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研究ハイライト

1万原子以上を持つ複雑系分子を超高速シミュレーション

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)のステファン・イレ(Stephan Irle)教授、西本佳央(大学院生)および産業技術総合研究所(AIST)のドミトリ・フェドロフ(Dmitri Fedorov)研究員は、100万原子以上を持つ分子を高速で解析する新しいコンピューターシミュレーション法を開発しました。

概要:

生化学やナノエレクトロニクスの分野で扱う分子には、タンパク質やフラーレン群といった1万〜100万個という多数の原子からなるものが多く見られます。これまでの量子化学を用いてこれらの分子群を解析しようとすると、膨大なコンピューターメモリーを消費し、長時間を要していました。そのため、原子量が多い分子の解析は非常に困難とされていました。

今回、イレ教授らは、大きな分子をフラグメントに分割するフラグメント分子軌道法(FMO)に密度汎関数強束縛分子法(DFTB)を組み合わせた、FMO-DFTBという新たなコンピューターシミュレーション法を開発しました。このFMO-DFTB法によって、DNA、タンパク質といった大型分子や100万原子を超えるフラーレン群の構造解析に成功しました。

Figure1_FMO-DFTB_JP.jpg

FMO-DFTB法

Figure2_Graph.jpg

水分子群の大きさに応じて解析にかかる時間

論文情報:

"Density-Functional Tight-Binding Combined with the Fragment Molecular Orbital Method" by Yoshio Nishimoto, Dmitri G. Fedorov, and Stephan Irle is published online on September 22, 2014 in the Journal of Chemical Theory and Computation. J. Chem. Theory Comput., 2014, Vol. 10, pages 4801-4812. 今回論文の表紙に選ばれました。

DOI: 10.1021/ct500489d

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