RPD

Research Promotion Division (RPD),

Institute of Transformative Bio-Molecules (ITbM), Nagoya University

ENGLISH

日本語  /

Molecule Gallery:

#8

● 既存薬のスクリーニングからマウスの体内時計のリズムを

  変える分子を発見

私たちの身体の中には、概ね1日のリズムを刻む体内時計が備わっています。これは概日時計といわれており、このリズムに同期して、睡眠、体温、血圧、代謝など様々な生理学的変動がおきます。そのため、概日時計が慢性的にずれると体に不調が生じ病気のリスクが高まるとされています。そのしくみの解明は医療においても重要とされており、2017年、概日リズムの分子メカニズムの発見に対し、ノーベル生理学・医学賞が授与されました。

ITbMの研究グループは、ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)のアプローチを用いて、合計1000個以上の薬からヒトの細胞にある体内時計のリズムを速くしたり、遅くしたりする分子を発見しました。そのうちの体内時計のリズムを速くする分子の一つに、ヒトの主要なホルモンの一つであり若返りの薬としても知られる「 DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」があります。DHEAをマウスのエサに混ぜて食べさせたところ、時差ぼけを軽減することを見出しました。

● ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)とは?

現在、薬の開発には、膨大なお金と時間がかかる反面、その成功率は決して高くありません。ドラッグリポジショニングとは、既に市販され安全性や薬効が分かっている薬から、別の病気に有効な新たな薬効を見つけ出す方法です。この方法をさらに展開することで、将来、既存の薬を使ってヒトの概日リズムの障害を軽減することが期待されます。

Reference:

“Identification of circadian clock modulators from existing drugs” by T. Katherine Tamai, Yusuke Nakane, Wataru Ota, Akane Kobayashi, Masateru Ishiguro, Naoya Kadofusa, Keisuke Ikegami, Kazuhiro Yagita, Yasufumi Shigeyoshi, Masaki Sudo, Taeko Nishiwaki-Ohkawa, Ayato Sato, and Takashi Yoshimura, EMBO Molecular Medicine 2018, 10, 5, e8724. DOI: 10.15252/emmm.201708724

CONTACT

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)

リサーチプロモーションディビジョン(RPD)

 

愛知県名古屋市千種区不老町 ITbM 5F 530

E-mail: rpd[at]itbm.nagoya-u.ac.jp

 

Copyright ©2022 ITbM-RPD