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置換ベンゼンを意のままにつくる 〜世界初、完全非対称6置換アリールベンゼンの合成と単離〜

名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)、JST戦略的創造研究推進事業ERATO伊丹分子ナノカーボンプロジェクト、名古屋大学大学院理学研究科の伊丹健一郎教授(有機化学研究室)、山口潤一郎准教授、鈴木真(大学院生)、瀬川泰知特任准教授は、置換ベンゼンを意のままにつくる新しい合成法を開発しました。破格の構造多様性をもつ多置換ベンゼンをプログラムされた様式で合成できる手法で、単純でありながらも長年未解決であった「多置換ベンゼン問題」にひとつの解答を与えるものです。

概要:

ベンゼンの6つの水素原子を全て芳香族置換基(アリール基)で置換したヘキサアリールベンゼン(HAB: hexaarylbenzene)は、6置換ベンゼンの一種です。様々な光電子機能性材料となるばかりでなく、近年ではナノグラフェンの前駆体としても注目を集めている分子群です。しかし、選択的合成の難しさから、これまで研究されてきたHABは1~2種類のアリール基で置換された対称性の高いものばかりでした。特に、6種類の異なるアリール基で置換された「究極のHAB」はこれまで合成・単離されたことがなく、その物性などは未知のままでした。今回、HABのプログラム合成法を開発し、ついにこれを達成しました。今回プログラム合成法が開発できたことで、これまで検証することができなかった非対称HABの多様な物性が今後明らかになり、様々な機能性材料への応用展開の道がひらけました。

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論文情報:

"Synthesis and characterization of hexaarylbenzenes with five or six different substituents enabled by programmed synthesis" by Shin Suzuki, Yasutomo Segawa, Kenichiro Itami* and Junichiro Yamaguchi*, Nature Chemistry (2015)

DOI: 10.1038/nchem.2174

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2015-01-27

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