名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

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GTR seminar / アドバンス生命理学特論

要旨:多細胞生物の体は器官、組織、細胞といった階層構造を持つ。器官の正常な発生やホメオスタシスはこれらの階層が相互作用し、協調的に機能することによって達成される。例えば多くの上皮細胞は、器官のグローバルな非対称性を読み取り、平面内細胞極性(planar cell polarity; PCP)を発達させる。PCPの典型例は、器官形成過程での体軸に沿った細胞移動や、脊椎動物の卵管上皮細胞の繊毛運動などに見られ、PCPが正常に確立されることは機能的な器官構造の形成や、子宮への卵の輸送といった生体内機能の発現に必要不可欠である。では細胞はどのようにして器官のグローバルな非対称性を読み取り、PCPを確立するのだろうか?
本セミナーでは、ショウジョウバエ蛹の上皮細胞集団が示す蛹の後方への移動を、非典型的カドヘリンDachsous が細胞間接着を介して制御するメカニズムを紹介する(Arata et al., Developmental Cell, 2017)。さらに現在研究を進めている、マウス卵管上皮細胞のPCPが発生過程や組織修復時に獲得されるメカニズムについても議論したい。
世話人:上川内あづさ(理学研究科生命理学専攻)