名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

活動報告

GTRリトリート2023を開催しました。

今年度は鈴鹿サーキットで対面での開催!

GTRリトリートは、GTRに参加する学生が同世代のネットワークを築くことを目的として毎年開催しているイベントです。また、異分野の学生・教員・企業関係者が一堂に会することで、世代や所属機関を越えたネットワークの構築や、融合研究の創出につなげることも狙いです。

リトリートでは、M2とD1のGTR生がチームで融合研究のアイデア創出のグループワークに取り組みます。学生がグループワークを行っている間、教員および企業の参加者は、研究シーズの紹介や情報交換を行いました。
今年度は4年ぶりに、鈴鹿サーキットでの対面開催が実現。天候にも恵まれ、充実した2日間となりました。

異分野融合コンテストとは?

異なるバックグラウンドを持つ学生同士でチームを組み、融合研究のアイデアを立案します。ターゲットとする社会課題を設定し、その解決策となる研究立案に挑戦することを通じて、発想力、研究立案力、コミュニケーション力、プレゼンテンション力などを養います。

開催スケジュール

事前ガイダンスおよびポスター発表会

異分野融合コンテストでは、事前にチーム分けが行われ、リトリートに出発する前にチームメンバーが発表されます。融合研究のアイデアを考える際には、メンバーの研究テーマや興味の対象をお互いに理解することが不可欠。事前ガイダンスでは、ポスター発表でお互いの研究内容を共有しました。

  • 日時:6月7日(水)
  • 場所:名古屋大学野依記念学術交流館
  • 実施形態:対面
リトリート合宿

対面での参加者は100名 。オンラインでの参加者を合わせると、2日間で総勢約120名が参加しました。

  • 日時:6月16日(金)~17日(土)
  • 場所:鈴鹿サーキットホテル
  • 実施形態:対面(異分野融合コンテストのプレゼンテーションはハイブリッド)
1日目:6月16日(金)
13:00~13:10 開会挨拶:山口茂弘(GTRプログラムコーディネーター)
13:15~17:00 学生:異分野融合提案の検討会
教職員:異分野融合に向けた交流会
17:10 集合写真撮影
18:00~19:30 懇談会
2日目:6月17日(土)
8:30~10:00 学生:異分野融合提案の検討会
教職員:異分野融合に向けた交流会
10:00~12:30 異分野融合コンテスト(プレゼンテーション)
12:30~14:00 昼食・休憩
14:00~14:45 表彰式・自由討論
閉会の挨拶:荘司 長三(理学研究科・教授)

異分野融合コンテスト

GTRの異分野融合コンテストでは、SDG'Sの目標の中で共通の関心テーマを持つ者どうしがチームとなり、テーマについて自由に議論し課題を設定の上、その解決を目指す研究提案を作成します。 グループでのディスカッションを経て、リトリートの2日目にアイデアをプレゼンテーションします。
どのような社会課題をターゲットとし、その課題にどうアプローチするのか。自分たちのアイデアを聴衆にどう魅力的に伝えるか。今年も、各チームの個性が光る研究アイデアが提案されていました。

発表タイトル

  • チームA「BioMOFicine™: Guarding rice fields by targeting a small molecule」
  • チームC「排蚊的経済効果 〜植物が作る見えないバリア〜」
  • チームD「水の生態系を救え!重金属回収バイオパック」
  • チームE「虫歯の自己修復を可能にするRNA医薬品の開発」
  • チームF「Cell AS Cell FOR ENERGY STORAGE」
  • チームG「Bioluminescence ~水素合成への新たな道~」
  • チームH「テクノロジーを駆使して病虫害に立ち向かおう!」
  • チームI「そこにAIはあるんか? ~人工知能×人工組織~」
  • チームJ「性別を考慮した医薬品の副作用検討手法の提案 ~医薬品開発のジェンター問題に挑む~」
  • チームK「輝け! オイルバスターズ ~バクテリオファージが拓く海洋汚染対策の新時代~」

コンテストの結果

1位: チームE「虫歯の自己修復を可能にするRNA医薬品の開発」
メンバー: 浅田雄一(理化学M2)、望月直哉(理化学M2)、加藤まりあ(生命農学M2)、労思源(工学D1)、Meng Zheyu(理化学D1)
投票者からのコメント:
  • 歯の自己修復が実現できると魅力的だと思いました。
  • 虫歯の自己修復という標的、ナノパーティクルによる取り込みとMPON法の組み合わせというアイデア、クオエリティの高いプレゼン、高いレベルの質疑応答、素晴らしいです。
  • 明確な課題設定に対して、独自の解決策が科学的な具体性を持って階層的にしっかりと積み上げられていた。
2位: チームC「排蚊的経済効果 〜植物が作る見えないバリア〜」
メンバー: 石川峻遥(生命農学M2)、伊藤正子(理化学M2)、森田海斗(創薬科学M2)、廣岡依里(理生命M2)、大塚裕記(生命農学D1)
投票者からのコメント:
  • 解決策がユニークで、分子の作用機序レベルから具体的に提案されていた。
  • 聴衆を惹きつける工夫がたくさんあり、発表として大変素晴らしかったです。
  • 発想と内容が一番ユニークでした!発表も惹き付けられる内容で素晴らしかったです。「魅せる」力は今後色々な場面で活きると思うので、これからも大事にしていただければと思います。
3位: チームF「Cell AS Cell FOR ENERGY STORAGE」
メンバー: 三鍋駿介(工学M2)、片山稜也(理生命M2)、森嵩登(理化学M2)江暢(工学D1)、乙竹真美(理化学M2)、加藤智紀(理化学D1)
投票者からのコメント:
  • 蓄電となるとやはり無機材料を思う浮かべがちですが、バイオ蓄電、発想が面白いと思いました。
  • 大きな課題に対して、新しい方向から科学的な実現可能性を持って提案されていた。システムの堅牢性をどう担保するかにもう一歩具体的な踏み込みがあるとよりよかった。
  • 生化学の中心的なシステムを蓄電に応用する発想が清々しかった。また、実現への道筋もよく考えられていた。

参加者の声

異分野融合コンテスについて
  • 自分と異分野の方とではものの見方がかなり違うことがわかり、大変良い経験になりました。短い時間で発表を完成させるのは大変でしたが、最終的には全く異なる分野の方と一つのアイデアを集成させることができ、楽しかったです。(GTR生)
  • 普段個人で研究しているため、チームで研究を考えたり議論したりするのは新鮮で良い経験でした。他のチームの発表がどれも面白く、刺激になりました。(GTR生)
  • 異分野についても学習しようという意識がよりいっそう高まった。(GTR生)
  • とても興味深い提案が多かったです。本当に実行して欲しいなと思うものもいくつかありました。(教員)
  • 多くの学生が深夜にもかかわらず、熱いディスカッションを繰り広げており、2日間で完成させたとは思えない素晴らしいクオリティで発表していたため非常に感動した。GTRの1期生として、学生側の立場として参加していたころを思い出し、懐かしい気持ちになった。(企業)

リトリート全般について
  • 非常に有意義な機会でした。コンテスト終了後、交流がより深まりつつある中でリトリートが終了してしまったため、異分野の学生・教員の交流の促進や、コンテストの内容についてのディスカッションや反省を行うため、もう1日あるとより思考や人との繋がりの輪が広がり、深まったと思います。(GTR生)
  • このイベントは単なるグループ間の競争ではなく、融合研究案に対する熱意が本当に強く、夜中の3時まで議論していたグループもあったようです。賞を取るかどうかは重要ではなく、大事なのはその過程でより優秀な学生に出会えたこと、また先生達とコミュニケーションをとれたことで、本当に良いイベントでした。(GTR生)
  • 企業に就職したGTRの先輩と話せて大変ありがたかった。(GTR生)
  • 久しぶりの対面で楽しかったです。学生さんたちの熱気を直接感じることができました。また名大の先生方と議論でき、早速共同研究が進みそうです。(教員)
  • 普段、研究室にこもっている身からすると、他の研究室の先生や学生と知り合える機会を提供していただけるのは非常にありがたい。コロナも下火になってきたため、このような機会を増やしていくことが、学生の教育のみならず、研究者同士の研鑽にもつながると思う。(教員)

鈴鹿サーキットに到着!

山口先生の挨拶からスタート

さっそくグループでディスカッション

教員も異分野交流

プレゼンを聞く聴衆も真剣

2日間、対面での交流を楽しみました