GTRリトリート2024を開催しました。
分野を越えた交流とサイエンスを楽しむ2日間
GTRリトリートは、GTRに参加する学生が同世代のネットワークを築くことを目的として、年に一度開催しているイベントです。
リトリートでは、M2とD1のGTR生がチームで融合研究のアイデアを考える「異分野融合研究提案コンテスト」に取り組みます。異なるバックグラウンドを持つ学生同士でチームを組み、融合研究のアイデアを立案することを通じて、発想力、研究立案力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力などを養います。
リトリートには、GTR生の他、教員、企業関係者、修了生なども参加。世代や所属を越えた交流の機会となっています。
今年度は新たな試みとして、教員・企業関係者によるポスター発表を実施。参加者からは、「先生方のポスター発表は新鮮だった。」「教授がどのように考えて研究を進めているのか知る機会はなかなかないため、非常に貴重な取り組みだった。」「その研究分野の創出に至った経緯や研究におけるマインドなどを研究内容と絡めて聞けたのが大変面白かった。」といった声や、「学生さんがとても積極的に質問してくださった点がよかった。また、分野が異なる学生さんからの質問がとても勉強になった。」「教員間の交流を深めることができた。」といった声が聞かれました。
開催スケジュール
今年度は、GTR生・教員・企業関係者など、総勢122名が参加。バーベキューや懇親会で親睦を深め、ポスター発表や異分野融合研究提案コンテストでお互いの研究内容への理解を深めるとともに、サイエンスを楽しみました。
- 日時:6月14日(金)~15日(土)
- 会場:ロワジールホテル豊橋
1日目:6月14日(金)
13:30~13:45 | 開会挨拶・趣旨説明:山口 茂弘(GTRプログラムコーディネーター) |
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13:50~15:50 | 学生:異分野融合提案の検討会 教員・企業研究者:異分野融合に向けた交流会 |
16:00~17:30 | 教員・企業研究者によるポスター発表 |
17:40 | 集合写真撮影 |
18:20~20:20 | 懇談会 |
2日目:6月15日(土)
9:00~10:00 | 学生:異分野融合提案の検討会 教員・企業研究者:異分野融合に向けた交流 |
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10:00~12:45 | 異分野融合研究提案コンテスト |
12:45~14:00 | 昼食・休憩 |
13:00~14:00 | ランチョンミーティング |
14:10~14:45 | 表彰式 講評:北 弘志(コニカミノルタ株式会社 技術開発本部・技術顧問) |
15:00 | 閉会の挨拶:大井 貴史(工学研究科 教授) |
異分野融合研究提案コンテスト
異分野融合研究提案コンテストでは、各チームがSDGsの目標の中からターゲットとする社会課題を選択し、その解決を目指す研究提案を行います。グループでのディスカッションを経て、リトリートの2日目にアイデアをプレゼン。融合研究の研究立案力や、それを短期間でまとめ上げるチームワークの他、自分たちのアイデアを聴衆に魅力的に伝える力も問われます。
今年度の新たな試みとして、審査員の投票で1位になったチームは、アイデアを形にするための研究費のサポートを受けられます。今後の展開も楽しみです。
各チームの発表タイトル
- Aチーム「Engineering Nitrogen-Fixing Crops through Genetic Engineering of Nitrogenase Proteins」
- Bチーム「微生物代謝による加齢臭改善のための研究」
- Cチーム「miRNAの機能阻害による 新規花粉症治療薬の創製」
- Dチーム「共有結合性アプタマーを活用したプリオン病の検出と治療」
- Eチーム「ゲップをしない牛」
- Fチーム「光応答性人工アミノ酸を用いた実験基盤の創出」
- Gチーム「生ゴミから資源を!」
- Hチーム「プラスチック代替品 PSPの開発を目指して ~材料は貴方のすぐそばにある~」
- Iチーム「光合成船隊:分解されるんじゃー ~微生物内包塗料によるCO2の吸収~」
- Jチーム「ヒジキでリチウムをとる!?-海中資源の回収でがっちり-」
- Kチーム「植物病原菌の早期治療を施すドクターB」
コンテストの結果
- 1位: Bチーム「微生物代謝による加齢臭改善のための研究」
- メンバー: 浅田 雄一(理化学・D1)、加藤 巧己(理生命・D1)、野中 一輝(理生命・D1)、木倉 健翔(工学・D1)、仙頭 志音(理化学・M2)、東 誠也(生命農学・M2)
- プレゼンの仕方が特に上手でした。商品化まで考えていて素晴らしいです。
- 着眼点がよく、実現可能性が高かった。
- マイナスをプラスに変換するアイデアが面白い。発表も聞きやすかった。直接肌につけるため安全面での懸念はあるが検証する価値があると感じた。
- 原因物質を生化学的な手法を使い微生物を使って機能物質(ラクトン)に直接変換できるところは、まさに生物のなせる技。ケミカルの基本的な反応を理解した上での生化学応用なので、融合研究としては興味深く、夢と現実のちょうどハーフウエイあたりを狙っているところはセンスの良さを感じた。
- 2位: Fチーム「光応答性人工アミノ酸を用いた実験基盤の創出」
- メンバー: 植村 和真(理化学・D1)、八神 祐一郎(理生命・D1)、片山 稜也(理生命・D1)、中込 智也(理化学・M2)、木下 裕史(理化学・M2)、古橋 康平(創薬・M2)
- 挑戦的な内容で、聴いていてワクワクしました。
- 説得力とユーモアのあるいい発表でした。提案の具体性もあり、よかったです。
- 伝達能力が優秀でした。予想されるトラブルに関する準備が一番できていると感じ、実現可能性が高いと思いました。
- 赤外光で活性化するウイルスのアイデアは面白い。実現可能性も高いと考える。ただ、シュルツの系で非天然アミノ酸を入れたウイルスができることは文献で発表されているので、その文献を出しておけば、みんな納得したのでは。
- 3位: Eチーム「ゲップをしない牛」
- メンバー: 濱田 安宏(理化学・D1)、横澤 陸王(理生命・D1)、光崎 嘉恭(理生命・D1)、森野 高晴(工学・M2)、大津 岳士(工学・M2)、川口 竜寛(工学・M2)
- クリアすべき課題は多いですが、実現されれば、環境改善の貢献度が高いこと、また人間に恩恵をもたらしてくれている牛が悪者でなくなることは素晴らしい。融合研究として考えられている点もよいとも思いました。
- 牛の胃に着目した点、非常に、面白かったです。一見、実現が難しそうに感じましたが、考えられる課題に対する対策をよく考えられており素晴らしいと思いました。
- 異分野の融合がわかりやすく、非常に興味深かったです。
- 短時間にもかかわらず、いろいろなことを想定されていて、素晴らしかったです。
参加者の声
- 本気で議論ができて楽しかった。(GTR生)
- 他のグループの発表に圧倒されました。とても良い刺激になりました。(GTR生)
- 色々な分野の学生と、短時間で融合研究を考える活動は、とても勉強になりました。議論を深め、研究概要を作っていくのが楽しかったです。決められた時間内でも、どのチームも素敵な発表をされていて、とても有意義な活動になったと思いました。(GTR生)
- 良い提案には研究費を付けて継続検討する仕組みは大変良いと思います。1件だけでなく複数件でもよいと思いました。(教員)
- 馬鹿馬鹿しいかもしれないことを真剣にサイエンスする方針が良かったです。想像もつかないアイデアが出てきて楽しませていただきました。(教員)
- まだ粗いものの、アイデアが素晴らしいものが多く、時間があっという間に過ぎました。先生方の厳しい質問にも何とか答えようとする姿勢から学生らの質の高さを感じました。(企業)
- 非常に楽しい2日間でした。グループのメンバーはとても仲良くなりましたし、懇親会でも多くの方とお話することができました。(GTR生)
- 異分野融合研究の創出のトレーニングという観点で、今までの学生生活で一番有意義でした。(GTR生)
- 同じ名古屋大にいながら交流できていない方々との良い交流になった。新しい出会いがあり、共同研究に発展することができたため、参加できてとても良かったと思う。(教員)
- 非常に楽しい2日間でした。後輩の学生たちだけでなく、先生や企業の方々とも深く交流でき、刺激をたくさん受けることができました。自身の研究に対するモチベーションアップにも繋がり、私個人としても有意義な時間になりました。(修了生)
- 懇親会でも普段交流できない先生や学生らと話ができ、大変刺激を受けました。得られた情報や繋がりから何かの折に点と点が結びつき、ビジネスに繋がるよう努めてまいります。(企業)