2024年度GTR成果報告会を開催しました。



成果報告会は、融合研究の進捗やGTRの一年間の活動の成果を共有するとともに、人と人とのつながりを構築し、新しい融合の可能性を見つける機会です。年に一度開催してきた成果報告会も、今年で7回目となりました。
今年度は、GTR生、修了生、学内外の教員、企業関係者など約400名が豊田講堂の会場に集い、交流を深めました。
2024年度GTR成果報告会 プログラム
- 日程:2025年1月15日(水)
- 会場:名古屋大学豊田講堂
9:30-9:50 | 開会挨拶:藤巻朗(GTRプログラム責任者)、山口茂弘(GTRプログラムコーディネーター) |
---|---|
9:50-10:35 | GTR Research Award 受賞学生による講演(前半) |
10:50-12:20 | ポスター発表(前半) |
12:30-14:00 | 休憩・ランチョンミーティング |
14:00-15:30 | ポスター発表(後半) |
15:40-16:25 | GTR Research Award 受賞学生による講演(後半) |
16:30-17:00 | 学生による活動報告 |
17:10-17:50 | 特別講演:菅 裕明(東京大学・教授) |
17:50- | 閉会挨拶:木下 俊則(理学研究科・教授) |
18:00- | 授賞式・懇親会 |
※本イベントは、参加者全員に守秘義務を課した秘密会議扱い。

藤巻先生、山口先生からの開会挨拶


藤巻先生は、「このプログラムが行っている様々な支援はみなさんへの投資であり、いずれ、みなさんが活躍している姿をもって恩返ししてほしい」と期待を込めたエールを送りました。また、「今日の成果報告会も、GTR生の姿を内外に見せる場であり、日ごろの成果を発表するとともに、この場を楽しんでほしい」と挨拶しました。
山口先生からは、7回目の成果報告会にあたり、GTRのこれまでの様々な成果の報告がありました。「研究突破力」を養成する教育プログラムとして、学生の受賞や学位論文の質の向上、修了生の活躍などを紹介。また、GTRで特筆すべき活動として、学生による自主企画「院生企画」がこれまでに20回以上開催されてきたことに触れ、学生主体の取り組みやその波及効果について報告しました。
今年度の成果報告会のテーマは「生み出す」。今後もプログラムを通じて様々な人のつながりや成果が生まれることを願い、2024年度の成果報告会がスタートしました。
GTR Research Award 受賞学生による講演



GTRでは、融合研究への取り組みや進捗が優れた学生を顕彰する制度としてGTR Research Awardを設けています。2024年度は6名が受賞し、以下のタイトルで講演を行いました。
講演の座長は、昨年度のResearch Award受賞学生が務めました。
座長(前半):小川 佳孝(理学研究科 生命理学領域 D2)
座長(後半):松永 優希(理学研究科 物質・生命化学領域 D3)
- 山腰 春奈(理学研究科 生命理学領域 D1)
- 「交尾状態に応じたドーパミンによる求愛歌情報処理調節」
- 三井 智恵(理学研究科 生命理学領域 M2)
- 「ヒメツリガネゴケにおける葉緑体の細胞内配置機構」
- 西村 優利(創薬科学研究科 D3)
- 「神経オルガノイドを基盤とした異分野融合創薬戦略」
- 大野 友希(理学研究科 物質・生命化学領域 D1)
- 「ω-2ω強レーザー場による化学反応制御:NO2選択的結合切断における振動励起の効果」
- 立松 大機(理学研究科 生命理学領域 M2)
- 「エネルギー地形としてのコロナ禍における抑うつ状態の可視化」
- 加藤 まりあ(生命農学研究科 応用生命科学専攻 D1)
- 「ホタルルシフェリンの実用的な one-pot 合成法の開発」
学生による活動報告
海外留学、企業訪問、GTR生の自主企画など、GTRでの活動について履修生が報告。自身の学びを共有するとともに、他のGTR生をエンカレッジするメッセージが多数聞かれました。
座長:松永 優希(理学研究科 物質・生命化学領域 D3)




- 井本 大貴(理学研究科 物質・生命化学領域 D1)
- 「ケンブリッジでの研究と日常生活」
- 稲葉 大晃(理学研究科 物質・生命化学領域 D3)
- 「フローニンゲン留学 ─日本人のいない生活─」
- 安藤 遥香(理学研究科 生命理学領域 B4)、小栗 乃衣梨(理学研究科 生命理学領域 M2)、桂 宗広(理学研究科 生命理学領域 M2)、山腰 春奈(理学研究科 生命理学領域 D1)、山ノ内 勇斗(理学研究科 生命理学領域 D1)
- 「院生企画:サイエンスに役立つイラストを学ぶ」
- 石川 峻遥(生命農学研究科 M2)
- 「GTRワーキンググループの活動」
- 近藤 朗大(理学研究科 物質・生命化学領域 D1)、鵜飼 明歩(理学研究科 生命理学領域 M2)、八神 祐一郎(理学研究科 生命理学領域 D1)、伊藤 海結(創薬科学研究科 M2)
- 「院生企画:機械学習×ChatGPT セミナー活動報告」
- 大津 岳士(工学研究科 M2)、黒田 琉奈(理学研究科 物質・生命化学領域 M2)、井上 翔理(工学研究科 M2)、木下 裕史(理学研究科 物質・生命化学領域 M2)、廣岡 依里(理学研究科 生命理学領域 D1)、伊藤 正子(理学研究科 物質・生命化学領域 D1)
- 「院生企画:研究を伝える ~サイエンスコミュニケーターに学ぶ伝える技術~」
- 大津 岳士(工学研究科 M2)、小林 伊織(工学研究科 M1)、山住 優斗(理学研究科 生命理学領域 M1)、生路 みのり(理学研究科 物質・生命化学領域 M1)、北谷 宏仁(創薬科学研究科 M1)、箕浦 有紗(創薬科学研究科 M1)
- 「院生企画:ポスターデザイン講習 ~目を引くデザイン~」
- 桒山 翔悟(理学研究科 生命理学領域 D1)、石川 峻遥(生命農学研究科 動物科学専攻 D1)
- 「GTR ワーキンググループの活動報告」
- 鵜飼 明歩(理学研究科 生命理学領域 M2)、目黒 瑛暉(理学研究科 生命理学領域 M1)、近藤 朗大(理学研究科 物質・生命化学領域 D1)、八神 祐一郎(理学研究科 生命理学領域 D1)、伊藤 海結(創薬科学研究科 M2)
- 「企業研究者とのディスカッション:コニカミノルタ株式会社」
特別講演:「新モダリティー分子で革新される創薬:特殊ペプチド創薬、擬天然物創薬、ネオバイオロジクス創薬」
菅 裕明(東京大学大学院理学系研究科化学専攻・教授)


菅裕明先生は、東京大学大学院理学系研究科の研究者であり、ペプチドリーム株式会社の創業者です。特殊ペプチドの創薬に革新をもたらし、同社では独自の技術を世界の製薬企業に提供する事業を展開しています。
ご講演では、自身の研究成果や独自技術について紹介があり、特に、これまで薬剤候補にならないと考えられていたペプチドを実用化へと導いたブレイクスルーについて解説していただきました。
さらに、大学での基礎研究をどのように技術開発へと発展させ、事業化につなげたのか、そのプロセスやビジネスモデルについてもお話がありました。また、大学での研究活動と、企業であるペプチドリームに対するスタンスの違いや、日本には例の少ない「黒字経営の大学発ベンチャー」を成功させる戦略についてもお話しいただきました。
基礎研究から事業化への展開をどのように行うか、日本のディープテック・スタートアップを成功させるための秘訣など、多くの示唆が得られるご講演でした。
GTR生によるポスター発表




ポスター発表は、1年間の研究成果を報告する場であると同時に、自身の研究をさらに発展させるために新たな融合研究の可能性を探る機会でもあります。会場ではポスターを前に、熱のこもった議論が交わされていました。
教員と企業参加者の審査により、以下の学生がポスター賞および企業賞を受賞。今年度から各企業名を冠した賞が新設され、企業の担当者から受賞学生に対して、評価のポイントが直接伝えられました。
- ポスターアワード
- C-109 劉 凱夫(工学研究科 生命分子工学専攻)
C-111 梅本 駿(工学研究科 生命分子工学専攻)
B-212 山ノ内 勇斗(理学研究科 理学専攻(生命理学領域))
B-218 胡 浩偉(生命農学研究科 植物生産科学専攻)
C-204 森山 拓海(理学研究科 理学専攻(物質・生命化学領域))
C-220 加藤 まりあ(生命農学研究科 応用生命科学専攻)
B-303 井上 翔理(工学研究科 生命分子工学専攻)
C-302 黒田 琉奈(理学研究科 理学専攻(物質・生命化学領域))
C-315 古橋 康平(創薬科学研究科 基盤創薬学専攻)
B-410 野﨑 友花(理学研究科 理学専攻(生命理学領域))
B-416 森下 友梨香(生命農学研究科 植物生産科学専攻)
C-406 平田 凌雅(工学研究科 有機・高分子化学専攻)
C-420 佐野 嘉治(理学研究科 理学専攻(物質・生命化学領域))
- コニカミノルタ株式会社賞
- B-212 山ノ内 勇斗(理学研究科 理学専攻(生命理学領域))
- 三桜工業株式会社賞
- B-201 光崎 嘉恭(理学研究科 理学専攻(生命理学領域))
- 株式会社同仁化学研究所賞
- C-111 梅本 駿(工学研究科 生命分子工学専攻)
- ブラザー工業株式会社賞
- C-423 齋藤 一磨(創薬科学研究科 基盤創薬学専攻)
- 株式会社メニコン賞
- C-406 平田 凌雅(工学研究科 有機・高分子化学専攻)
- 株式会社モリタホールディングス賞
- C-308 中込 智也(理学研究科 理学専攻(物質・生命化学領域))










表彰式・懇親会
懇親会の冒頭、コニカミノルタ株式会社の北弘志・技術フェローよりご挨拶があり、現在の企業における研究開発に求められる人材を踏まえ、GTR生やGTRプログラムの今後に期待するお言葉をいただきました。




参加者の声
- 異分野の学生のみならず企業の方と意見交換できる場面が多くあったため、非常に有意義に感じた。(GTR生)
- 自分と似た目標に対する別なアプローチを知れた。(GTR生)
- 基礎研究に軸足を置きながら起業という選択肢をとり、大きな成功を収めた方の講演は大変刺激になった。(中略)また、最後に仰ったDeeptechで成功するための秘訣は、実践的な内容で参考になった。このように基礎研究をより社会実装に近接させるようなお話をもっと聞く機会を院生企画等を通じて作りたいと考えた。(GTR生)
- 企画者の方々がキラキラしており、来年も院生企画に携わりたいと思いました。(GTR生)
- 色々と実用的な企画が考えられていて、自分の研究室の学生にも参加や企画を薦めたいと思った。(教員)
- 学生さんへのサポート体制がすばらしかったし、そのかいあって学生さんが皆さん楽しそうで活気があったのが良かった。また、菅先生の講演にも感銘を受けた。(教員)
- 多くの学生たちの1年間の努力が発表されていて学生の勢いが感じられた。また、こういうイベントは学生のみの参加が多いところ、指導教員もたくさん出てきていたのはとてもよかった。学生同士、他研究室の教員と学生、教員同士、卒業生同士や卒業生と現役生など、多くの交流ができていたのが最も良かった。(教員)
- 学生さんが自分の研究に自信とプライドを持って取り組んでいる姿勢が感じられて、とてもよかったです。(企業)