名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

活動報告

GTRリトリート2025を開催しました。

分野を超えたネットワークを築く2日間

GTRリトリートは、GTR生同士のネットワーク構築を目的に年1回開催されるイベントです。
今年は学生65名、教員・連携機関研究者45名、企業研究者6名が参加し、世代や所属を超えた交流が行われました。

リトリートでは、M2とD1のGTR生がチームで「異分野融合研究提案コンテスト」に取り組み、発想力、研究立案力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力などを磨きます。

学生が異分野融合研究提案コンテストのチームでのディスカッションを行っている間、教員や企業研究者も研究交流会を実施。学生だけでなく、教員にとっても、学内外に縦と横のネットワークを築く機会となっています。

開催スケジュール

  • 日時:7月11日(金)~12日(土)
  • 会場:三河湾ヒルズホテル
1日目:7月11日(金)
13:00~13:15 開会挨拶・趣旨説明:木下 俊則(GTRプログラムコーディネーター)、荘司 長三(理学研究科 教授)
13:20~15:50 学生:異分野融合提案の検討会
教員・企業研究者:異分野融合に向けた交流会
15:50~17:20 ポスター交流会
17:30 集合写真撮影
18:00~20:00 夕食・懇談会
20:00~ 学生:自由討論
2日目:7月12日(土)
8:30~9:30 学生:異分野融合提案の検討会
教員・企業研究者:異分野融合に向けた交流
9:30~12:00 異分野融合研究提案コンテスト
12:00~13:00 投票・昼食・休憩
13:00~14:00 表彰式
講評:北 弘志(コニカミノルタ株式会社 技術開発本部・技術顧問)
14:00 閉会挨拶:荘司 長三(理学研究科 教授)

異分野融合研究提案コンテスト

異分野融合研究提案コンテストでは、各チームが社会課題を選び、その解決策となる革新的な研究提案を行います。異なる分野や背景を持つ学生同士がチームで議論を重ね、リトリート2日目に研究提案としてプレゼンテーションを行います。
昨年度は、受賞チームが提案をさらにブラッシュアップし、外部資金の獲得に成功するなど、年々コンテストのレベルが向上していることがうかがえます。
多様なバックグラウンドを持つ学生同士が議論し協力し合う中で、お互いの研究や人となりを理解していきます。また。各チームの個性やチームワークが存分に発揮されるプレゼンテーションを通じて、参加者同士が刺激を受けることも本コンテストの大きな魅力です。

各チームの発表タイトル(発表順)

  • C:糖尿病にマイルドに向き合うための研究〜注射はたまにでいい〜
  • J:小さな分子で大きな収穫~ペプチド認識による標的応答型殺菌法の開発~
  • F:インスタントポリマー断熱材~光触媒を添えて~
  • E:二重遮断機能を有するリポソーム外用薬による新規薄毛対策法の提案
  • A:IMOTARE - Indigestion-Modulating Obesity Therapy via ADCs and Receptor Engagement
  • G:ヒトを再現る
  • I:刺激で香るバリア刺激応答性スマートポリマー
  • D:熱中症ワクチンの開発
  • B:Glucoskin: Artificial Skin that can detect and treat diabetes
  • H:モ~サシバエなんて怖くない

コンテストの結果

1位: Eチーム「二重遮断機能を有するリポソーム外用薬による 新規薄毛対策法の提案」
メンバー: 仙頭 志音(理化学・D1) 、村田 知隼(理化学・D1) 、石上 恵(理化学・D1)、 酒井 裕司(理化学・M2) 、秋田 裕太郎(理化学・M2) 、赤川 翔(工学・M2)、 小林 伊織(工学・M2)
審査コメント:
  • 本格的な資料とプレゼンで感心しました。
  • キャッチーな話題を論理的に検証し、化粧品として売り出すのには十分なくらいの説得力がありました。作用機序ベースの論理構成が美しかったです。
  • 発毛機構を理解した上で従来から知られている2つの機構を一気に両立し、さらにシナジーも狙って副作用を低減させるというコンセプトは面白い。マイクロニードル使用はやや抵抗感はあるが、これまで例をみない「美容化学」を題材にしたところは評価したい。
  • 修飾したリポソームをDDSに利用するというアイデアが面白いと思いました。融合研究であることが分かりやすいと感じました。
2位: Hチーム「モ~サシバエなんて怖くない」
メンバー: 佐川 勝俊(工学・D1) 、船田 俊輔(理化学・D1) 、黒田 琉奈(理化学・D1) 、佐野 嘉治(理化学・M2) 、野﨑 友花(理生命・M2) 、加藤 賢(工学・M2)
審査コメント:
  • アイデア・実現性・伝達能力のすべてが良かった。
  • アイデアが良く実現性も非常に高い提案です。この技術の応用にて牛乳と牛肉がおいしく安くなると信じてます。
  • 発想は奇抜で面白く聞こえてもても、実現可能性が低いことが多いのに対して、この提案が最も実現可性と独創性があると判断しました。
  • ハエの行動制御がどれくらい難しいかや室外での利用が可能なのかの疑問はありますが、実現可能性が一番高いと感じました。
  • 総合的によく練られていたプレゼンで良かったと思います。他の家畜への応用可能性も感じまし た。
3位: Fチーム「インスタントポリマー断熱材 ~光触媒を添えて~」
メンバー: 大津 岳士(工学・D1) 、伊藤 海結(創薬科学・D1) 、北村 暁(理化学・M2) 、安井 恭一郎(理化学・M2) 、佐々木 春奈(工学・M2) 、水野 賢汰(創薬科学・M2)
審査コメント:
  • 課題とアプローチが非常に具体的に想定できており、実現性が高そうだと感じました。設計に対し、実際に適用可能な材料の設計が課題と思いますが、スクリーニング方法も付されており、非常に興味深いと感じました。
  • 目的をしっかり絞っていて、そこへの十分な機能について現実的に議論していてよかったです。
  • イントロの切り口が非常に良かった。
  • とてもわかりやすい発表でした。断熱材の生分解性についても検討されると、より素晴らしいご提案になる気がしました。
  • 懸念事項に対しても下調べがなされており、質疑応答もしっかりしていました。

参加者の声

異分野融合研究提案コンテストについて
  • グループ全員がそれぞれ得意なことを活かして、1つの研究について考案するのはとても楽しかった。(GTR生)
  • 異分野の技術や視点を学び、チームで掲げた課題達成に向け、議論を重ねられたのは良かったです。また、コンテストでは、色々なチームの興味深い発表を聞くことができ、勉強になりました。(GTR生)
  • 他のチームの発表を見て、自分の思いもよらなかった発想やアプローチを聞くことができ、良い刺激になりました。(GTR生)
  • 課題を発掘し、各自の専門知識・技術を組み合わせて問題を解決する力を磨く良い取り組みだと感じました。(連携機関・教員)
  • AIの進歩により、多くの人が知識を簡単に得ることができるようになったことから、発案力や発想力がさらに重要になってきていると感じる。さまざまな分野の博士学生が集まり、議論するなかで、このような力は身についていくと、今回の発表を通して強く感じた。(企業)

リトリート全般について
  • 普段関わることのできない先生方と研究についてディスカッションして「君の研究面白いね」と言ったことを言ってもらえたのはすごく嬉しく、研究のモチベーションアップに繋がりました。また、研究ではないことについて他の人たちと協力して何かに取り組むということは普段ほとんどしていないので、色々な人たちと関わることができてとても楽しかったです。(GTR生)
  • 最初は本当にできるのだろうかという不安がありましたが、D1の先輩方、GTRの先輩、先生方のサポートを経て形にすることができました。自分たちの力で何か1つの研究提案ができたということは少し自信につながりました。(GTR生)
  • 初参加でしたが、とても充実した2日間を過ごすことができました。特にポスターセッションでは自分の専門分野とは異なるテーマの学生とのディスカッションを通じて多くの刺激を受けました。(教員)
  • GTR修了生として参加したが、非常に良い刺激を受けた。学生の活躍を見たり、若手研究者との交流したりできたのがよかった。(修了生)