名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

活動報告

院生企画インタビュー「学生シリーズ講義」

GTRには、履修生が企画を提案し審査に通ることで、企画の実施に対してプログラムから支援を受けられる「GTR院生企画」という制度があります。
今回の「学生シリーズ講義」は、主に生物系の研究を行うGTR生が「学生講師」となり、異分野の学生にも分かりやすい、学生による学生のための授業として企画されました。

本企画は当初、2020年2月に開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて開催を延期し、当初は1回で行う予定だった企画を、オンライン化に伴って2回に分割し、10月と11月に実施されました。

企画者による詳しい活動報告レポートはこちら(PDF)をご覧ください。

学生講師による講義は、背景となる学問分野の基礎的な説明のあと、発表者自身の専門研究についての紹介があり、異分野の人にも分かりやすいよう構成が工夫されていました。合わせて、関連する学会の情報や教科書の紹介などもありました。

学生シリーズ講義とは?
第1回の講義の様子
生物学入門講座の様子
オンラインとオフラインの併用で運営
第2回の学生講師と企画メンバー

院生企画インタビュー

以下では、3名の企画者のみなさん(木下さん、正木さん、川瀬さん)と、学生講師として参加したお二人(松村さん、土田さん)、今後の運営に参加予定の沖田さんに、2回の講義の振り返りと今後の展望をお聞きしました。

Key topics
学会発表とは違った「学生シリーズ講義」ならではの面白さ
講義内容ができるまで(企画者・発表者双方の視点から)
人伝いにつながる人のつながり
続けることが一番効果が出る/続けるために(企画者の運営の負担が減るような仕組みづくり)

学会発表とは違った「学生シリーズ講義」ならではの面白さ

  • 今回の企画をやってみてよかったことを教えて下さい。

川瀬:まず何より会をちゃんと終えられたことです。今後もこの企画を継続できそう、っていうのも良かったことです。あと、自分たちが知らない話を聞くのは面白いっていうのを改めて実感できました。

木下:僕も、何より自分が楽しかったってのが、一番やってよかったことだと思います。聞きたい人の話も聞けたし、知らない人の話も聞けたし、今回6人とも、すごく発表が上手な人たちが集まってくれたと思います。

正木:発表者の人たちが、分かりやすさもそうだし、面白さをいい感じに伝えてくれたので、聞いてて本当に楽しかったです。GTRの学生は発表が上手な学生が多いと思うので、今後も広がっていくといいなと思います。

松村:学会での研究発表はこれまでにもやってきたんですけど、自分の分野の基本の部分から話をして、っていう機会はなかなかないので、いい勉強になったし楽しかったです。

土田:私も、どうやったらみんなが面白いか、興味持ってくれるかなって考えながら発表するのは楽しかったです。

正木:学会の発表だと、その学会に合った発表の内容だったりラボの方針だったりがあるので、それに沿った発表内容になります。今回は、普段学会の場で話さないような、ちょっと話がそれた所とかをいろいろ聞けたのがよかったと思います。

川瀬:今回、「授業としてやる」というのも一つのコンセプトでした。なので、自分の知識を一回まとめて、「レビュー」の形で話すっていう、学生にはあまりない機会だったと思います。学会で発表する内容は基本的に、何か新しい発見や新しいアプローチなので、今回のような基礎的な話を聞ける機会っていうのは、またそれとは違って面白かったです。

木下:例えば同じ植物の分野でも、研究のコンセプトの部分が違ったりすると単語が分からないこともあります。でも今回、ベーシックなところも一個一個説明してくれて、コンセプトの違いも理解できたから、より面白く感じたのかなという気がしました。

講義内容ができるまで

企画メンバーも発表者も全員が「面白かった」と話す講義内容がどんな風にできたのか、事前の準備や試行錯誤について伺いました。

  • 企画者と講師で事前にどんな打ち合わせや準備をされたのですか?

木下:当初は2月開催の予定で、直前まで、こんな状況だけどまあやるだろうって、本当にやる気満々で準備してて、その辺りでリハーサルもやりました。

川瀬:中止して下さいって連絡来たの、2日前だったからね。

正木:当初は企画陣のほうで、スライドをどういう構成で作ってくださいとか、そういうスライドの構成要領みたいなのを作ってました。例えば、最初に自分の実験のモデルの話をしてください、その後、質問タイムをつくって、自分の研究分野から始めてくださいとか。あるいは、発表の内容をある教科書に沿ってやって、実際にその教科書も現地に持ってきて、みんなで見ながらわいわいできるといいですねとか。
そういうスライドの作り方から、質問の入れ方から、話すストーリーまで企画陣で考えて、講師の方にお願いしてました。それを踏まえてリハーサルもやりました。

川瀬:やった。ただ結局、反映はされてなかった。最終的にオンラインでやることになって、各々がもっといいものを出してきたから、もう、これはいいよねっていう。

正木:そんな感じでしたね。

松村:そういう枠組みがなかったら、本当に何からやったらいいのか分かんなかったから、構成要領みたいなのがあったのはかなりよかったと思います。リハーサルして、話す内容のバランスとかも話し合えて、すごくやりやすかったです。
あと、僕はオンラインで発表したんですけど、企画者の3人は臨機応変に対応してくれて、発表者への配慮が随所に感じられて、発表者がやりやすい場だったと思います。

土田:私も構成要領があったので作りやすかったです。リハーサルで3人がいろいろ意見をくれて、それについてラボに帰ってから先生に背景を聞いたりもして、そういう機会を与えてもらえたこともすごくよかったです。

人伝いにつながる人のつながり

  • 学生講師陣はどのような経緯でこのメンバーに?

木下:自分たちが知ってる人で「面白い」と思ってる人を候補で挙げました。

川瀬:動物、植物のバランスとか、分野が偏らないようにしようっていうのも意識はしました。

土田:私の場合は川瀬さんから急に連絡が来て、「こんな企画を立てたんけど、講師やらない」って言われて。すごいびっくりしながら、最初、私、本当にしゃべれるのかなあと思って、ちょっと迷ったんですけど。発表する機会がつくれるのは嬉しいし、自分の研究をみんなに知ってもらえるのは嬉しいので、ぜひと思ってやらせてもらいました。

松村:僕は木下くんから超長文のLINEが来て。こういう所が面白いから話をして、みたいな、めちゃめちゃ褒めてくれてて。快く受けさせてもらいました。

木下:もともと(松村)護くんの、質疑応答の時間がすごく好きで。その場の質疑応答でしか出ないような、「ライブ感」みたいなのがあって。

松村:ちょっとしゃべり過ぎちゃうんです。

川瀬:僕は、護くんはそれまでのGTRのイベントで1回も話したことなかったんですけど、木下くんが「面白い子いるよ」って言って連れていってくれて、話してみたらめっちゃ面白くて。

正木:本当にメンバーがすごくよかったと思います。今回講師をしてくれた人たちは、それまで話したことはなくても、名前を聞いたら「ああ、あの人」って、どっかで印象に残ってる人が多かったです。年次報告会とかGTRのこれまでのイベントでちょっとしか見たことなくても、あの人は研究室の中で中心的な人だろうな、あの人は後輩に慕われるような人だな、みたいな印象がなんとなくあって。完全に独断と偏見ですけど。こういう会を一緒にやってやりやすい人は、そんな風に、知らないうちに印象に残ってる人が多いのかなと思いました。

木下:直接は話してないけど人伝いに名前を聞いて、何となくその人のことを覚えてる、っていうのもあると思います。

川瀬:人づてっていうのはあるね。

正木:確かに。松村くんは木下くんが推しに推していたし、土田さんは川瀬くんから。

木下:川口くんは山口先生からの推しで。

正木:本人が知らない所で名前が勝手に出されてる人たちが多いのかも。人づてに「この人面白い」がつながっていった感じです。

続けることが一番効果がある/続けるための仕組みづくり

  • 今後も「学生シリーズ講義」は続いていくということですが、今後やりたいことや抱負を教えて下さい。

川瀬:僕はいろんな人の話を聞くのが好きですし、ディスカッションするのも好きですし、自分の言いたいことを言っていくのも好きなんで、これからもそういう場をつくれたらいいなと思っています。僕はまだD1なので、来年度に関しても、がっつりこの企画を盛り上げていくつもりです。積極的にではなくても、何となくでも参加してくれるっていう人が、どんどん増えるような会にしていけたらと思います。
今日来てくれてる沖田さんも、今後一緒に企画を頑張ってくれるはず。

沖田:私は、学部は別の大学だったんですけど、同じキャンパスに自分が所属する工学部と情報学部しか学部がなくて、他の学部の人に気軽に研究について聞けるっていう環境がなかったんです。誰かとつながるってことがなかったので、GTRに入って、今、気軽につながれる、話せるっていう環境があるので、それがなくならないように、もっと円滑になっていくように、そういう企画ができたらいいなって思います。

木下:今回、新しく2人が企画にも興味ありますって言ってくれてたので、ぜひとも続けてもらいたいし、院生企画に関わる人たちがもっと出てきてくれて、自分としてはその人たちを後押しできるような感じで関われたらいいなと思います。

正木:もっといろんなメンバーが院生企画を企画して、来年とか、5年後とか10年後も、GTRの院生企画が毎年たくさんあればいいなって思います。
この企画に関していえば、みんなが「学生のシリーズ講義っていつもあるよね」って当たり前になるくらい続いて、「今度学会があるから、ちょっと練習で発表参加させてもらおうかな」とか、そのくらい軽い気持ちでどんどんやれるような会になったらいいなと思います。あとは、生物系と化学系がもっとごちゃ混ぜになってやるのが当たり前とか、そういう感覚になっていけば嬉しいなと思います。

土田:今、自分が別の院生企画を企画してて、結構大変だなって思ってるんですけど、でも実際に会が開催されたらすごい楽しいし、やるまでは大変だけど、やったらすごい楽しいっていうことが、いろんな人に伝わればいいなって思いました。
今回の学生シリーズ講義では発表者をやってみて、自分が授業をする機会なんてなかなかないので、そんな機会をいろんな人に与えられるすごくいい企画だなって思いました。これからも楽しみにしています。

松村:授業を学生がする機会なんてほとんどないと思うので、すごくいい機会を与えてもらえたなと思ってます。そういう経験をできる人がどんどん増えていくように、続けていくのがいいのかなって思います。

川瀬:当初から、企画を「続ける」っていうのが一番効果が出るよねっていう話をしていて。じゃあ、どうやったら続けられるんだろうって考えたときに、企画する人たちが大変な思いするのは嫌だよねっていうことで、スライドの構成要領を作ったりしたのも、それに沿ってやればいいっていうものがあったら楽なんじゃないかって所からスタートしています。

木下:なるべく運営が楽にできるように、枠組みとか流れをつくろうっていう思いがあって。講師の人は準備とかちょっと負担もあるけど、運営側は、場所を押さえるとか日程決めるとか、最小限でいいようにって思ってやってきたので、ぜひもっと続いてくと嬉しいなと思います。

2020.12.4 オンラインにてインタビュー

企画者
  • 木下悟(理学研究科生命理学専攻 博士後期課程2年)
  • 正木佑治(創薬科学研究科 博士後期課程2年)
  • 川瀬雅貴(生命農学研究科 博士後期課程1年)
学生講師
  • 松村護(理学研究科生命理学専攻 博士後期課程2年)
  • 土田仁美(生命農学研究科 博士後期課程1年)
次回以降の運営メンバー
  • 沖田ひかり(工学研究科 博士前期課程1年)