名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

活動報告

院生企画インタビュー「英語で楽しめ!研究発表」

英語でのポスター発表の仕方を実践的に学ぶ

  • 日時:3月16日(木)
    午前の部(講義)10:30~12:00、午後の部(実践)13:00~16:30
  • 会場:理学部化学科第2講義室 (理学部B館2階)
  • 講師:島村東世子(株式会社イー・グローブ代表取締役社長)

「GTR院生企画」は、外部の研究者を招いたセミナーや異分野の学生同士の交流イベントなど、様々な「機会」を学生自身がつくれる制度です。企画の申請や運営のプロセスを通じて、研究以外の経験を積める機会でもあります。(過去の院生企画はこちら

2023年3月16日、英語でのポスター発表の仕方を学ぶ院生企画、「英語で楽しめ!研究発表」が開催されました。
講師の株式会社イー・グローブ代表取締役社長 島村東世子氏の熱のこもったレクチャーのもと、本番の学会さながらに英語でのポスター発表を行い、実践しながら聴衆とのコミュニケーションの取り方を学びました。

本企画では、GTRの参画教員に事前にアンケートを取り、学会発表での体験談を集めた「トラブルシューティング集」も作成。普段なかなか聞けない、先生方の体験談が詰まった貴重なトラブルシューティング集ができました。

*企画者による詳しい活動報告はこちらからご覧いただけます。

企画者

  • 沖田 ひかり(工学研究科 生命分子工学専攻 分子生命化学講座 D1)
  • 稲葉 大晃(理学研究科 理学専攻 生物無機化学研究室 D1)
  • Nguyen Quoc Viet(理学研究科 理学専攻 生物無機化学研究室 M2)
  • 佐藤 史経(工学研究科 生命分子工学専攻 分子生命化学講座 D2)
*所属は企画実施時のもの

院生企画インタビュー

Key topics
英語のポスター発表でも、自分の研究の面白さを伝えたい
相手に「伝わる」ために大切なこと
企画者としての学び
メンバーそれぞれが、できることをやる
経験を次に生かす

英語のポスター発表でも、自分の研究の面白さを伝えたい

Q.今回の院生企画を企画したきっかけや経緯を教えてください。

沖田:国際学会に参加する時、口頭発表は研究室で準備を比較的手厚くサポートしていただけますが、ポスター発表は発表時間が長いにもかかわらず(1時間程度)、やり方を学ぶ機会自体がほとんどありません。「自分たちの研究はこんなに面白い!」と伝えたいのに、英語がネックになって面白さを上手く伝えられないのは嫌だなと思っていました。そこで今回の院生企画では、外部の講師の方を招いて、国際学会での英語ポスター発表のための講義を開くことにしました。

稲葉:昨年、今のM2(当時のM1)がGTRに入ったタイミングでキックオフのイベントがあって、院生企画のアイデアをグループで考える時間がありました。その時に出たアイデアが今回の企画です。

Nguyen:僕はその会で沖田さんと稲葉さんと同じグループでした。GTRに入ったばかりで院生企画がどういうものなのか知りたくて、企画メンバーとして参加しました。僕は留学生で、名古屋大学の英語プログラムG30に所属しているので、英語を使った企画で何か皆さんの役に立てたらいいなと思って参加しました。

佐藤:僕はGTR生ではないのですが、沖田さんと同じ研究室に所属していて、これまでに色々な企画の宣伝を目にしていて、ちょっとやってみたいなと思っていました。沖田さんを通じて今回の企画のことを聞いて、企画の内容や趣旨も賛同できる内容だったので、企画者として参加させてもらいました。

相手に「伝わる」ために大切なこと

Q.今回の企画をやってみて良かったことを教えてください。

稲葉:まずは講義の参加者として、自分が知りたかったことプラスアルファのことを学べて、純粋に良かったです。この講義のすぐ後に実際に英語での口頭発表の機会があったのですが、準備していた原稿は、講義を受けたあとに全部書き直しました(笑)それくらい、講義を受ける前と後では、意識が変わりました。例えば、聴衆に呼びかけるような表現を入れるなど、書き言葉のような英語ではなく、目の前の相手に伝えることを意識した英語になったと思います。

Nguyen:自分の研究のことを一方的に話すのではなくて、時折、聴衆とのインタラクションを入れて、一方的な発表にならないようにすることは、今後に生かせると思いました。

沖田:今回の講義には、株式会社イー・グローブの社長さんが来てくださいました。通常であれば、社員の方が講師をされるそうですが、今回は「大学院生がこんなに熱い思いをもってやってくれるなら、社長の私が行きましょう」と言ってくださいました。本当にパワフルな方で、私たちの色々な希望を汲み取ってくださって、当日も臨機応変に対応してくださいました。
講義では、ポスター発表の練習をする時間があったのですが、それが学会の本番さながらで、「そんな気合の足りない感じではダメ」と、テイク2、テイク3とやり直したりして、本番と同じ雰囲気で練習する重要さを痛感しました。このように細やかなアドバイスをいただくことは今までになかったので非常に新鮮でやる気が出ました。

佐藤:ポスター発表をする上で、ポスターの構成や文字の大きさといった、ポスター自体ももちろん大事ですが、プラスアルファ、聴衆に自分の話を聞いてもらうために、声のかけ方や惹きつけ方など、態度や働きかけが重要だと学べたのが大きかったです。
これまで、英語だと少し気おくれしてしまうこともあったのですが、そうした態度が、他の人が聞きに来てくれない要因になっていたと分かりました。「自分の発表を聞きに来てほしい」という気持ちを込めた、はつらつとした声かけが大事だと実感できました。
今回教えていただいたことの多くは、日本語でも英語でも、どちらにも生かせる内容だと思います。

企画者としての学び

Q.企画者として院生企画に関わったことで、良かったことはありましたか。

稲葉:院生企画の運営の経験が豊富な沖田さんが一緒だったおかげで、企画を運営する側としての学びが多かったです。

佐藤:企画メンバーのそれぞれの働きが素晴らしかったと思います。沖田さんがすごく優秀なリーダーで、他のメンバーも、構成員・フォロアーとしてすごく優秀で、チームとして、企画を遅延なく確実に回せていたと思います。

Nguyen:院生企画に企画者の一員として参加できたことで、GTRに入って初めてGTR生という実感がわきました。今回は一番後輩で、先輩方に頼らせていただいた面もありましたが、企画に携わってみて少し自信がついたので、今後、他の企画運営にも関わっていきたいと思いました。

沖田:これまで色々な企画に関わってきましたが、リーダーをする機会はあまりなかったので、過去に参加した企画での先輩方のやり方を思い出しながらやっていました。
企画の方向性に関しては、私が出したものそのままではなく、ちゃんと皆さんの意見も入っていて、最終的にとても良いものになったと思います。チームの方々が本当に優秀で、レスポンスも仕事も早くて、素晴らしいメンバーに恵まれたと思います。

メンバーそれぞれが、できることをやる

Q.素晴らしいリーダーとチームメンバーだったことがとても伝わってきました。それぞれがどんな風にチームに貢献されたのか、もう少し教えてください。

佐藤:僕はGTR生ではないので、GTR学生支援室とのやり取りの部分は、稲葉さんがメインで、ヴィエットさんがサポートという体制で円滑に回してくださったと思います。
ヴィエットさんは、留学生ということもあって、英語面でのフォローもありがたかったです。講義でのポスター発表の練習の時も、積極的に質問してくださっていて、会を盛り上げようという思いが伝わってきました。

沖田:基本的に他のメンバーの方と同意見なのですが、特にヴィエットさんの、何事にも積極的な姿勢は、私も見習いたいと思いました。

稲葉:企画の立ち上げ当初から、「G30の学生も巻き込みたい」という思いがありました。今回、講義の受講者に留学生の方はいなかったのですが、ヴィエットくんが企画者にいてくれたおかげで、G30の皆さんにも案内を送って、「院生企画に参加できますよ」というアピールができたのは良かったと思います。

Nguyen:稲葉さんはラボの直接の先輩で「身内」ということもあって、時々僕が上手く伝えられないことを汲み取ってフォローしてくださり、さすが頼りになる先輩だと改めて感じました。

沖田:私が慌てていても、稲葉さんはいつも落ち着いていて、細かい対応もきっちりやってくださって、すごく安心感のある存在で、助けられました。
佐藤さんは、研究でもそうですが、洞察力が鋭くて、今回も、みんなが気付いていない点に関して的確に指摘やアドバイスをしてくださいました。佐藤さんの鋭い着眼点、自分もこんな風にできたらと思いました。

稲葉:同じコミュニティの人だけだと、意見や考えていることが似てしまいがちです。僕とヴィエットくんは同じ研究室ですし、僕と沖田さんは同じGTR生で、どうしても指摘する箇所が似てしまうのですが、佐藤さんがいてくださったおかげで、違う視点での指摘がたくさんあって、それによって、企画がよりブラッシュアップされたと思います。

Nguyen:沖田さんは、GTRの院生企画をはじめ、いろいろな企画を経験されていて、毎回のミーティングの進め方や、議事録やチェックリストの作成など、様々な運営の仕方を学ばせてもらいました。自分がその立場になった時には真似したいです。

佐藤:沖田さんが、企画の立ち上げから開催までの段取りをすごくきっちり整えてくれたおかげで、僕たちがフォロワーとしての力を最大限発揮できたと思います。

稲葉:リーダーの沖田さんの中に「企画のビジョン」がちゃんとあって、やりたいことの軸をしっかり持っていてくれたからこそ、他のメンバーは安心してその軸に乗っかって、ブラッシュアップに徹することができたと思います。進行や段取りもきっちりしていて、企画メンバーは動きやすかったです。

沖田:私が抜けている所を、皆さんがきれいにカバーしてくださって、本当に良いメンバーに恵まれたと思います。リーダーがどれだけ段取りをしても、結局はメンバーの方々が主体性を持って動いてくださることが大事だと思います。「こうしたらもっと良くなる」「今これが必要だ」という風に、企画メンバーの皆さんが主体的に考えて必要と思われる行動をとってくださったからこそ、スムーズに進んだと思います。メンバーの皆さんには本当に感謝しています。ありがとうございました!!!

経験を次に生かす

Q.最後に、今回の院生企画を振り返って一言ずつお願いします。

佐藤:僕は来年就職して企業で働きます。おそらくそこでも、チームで物事を進めることがあると思うので、今回の企画での学びを生かしたいです。

稲葉:まずは国際学会での英語での発表で、今回の講義で学んだことを生かしたいです。企画についても、自分が学びたいことややりたいことを企画として実現することを、今後もやれたらいいなと思います。

Nguyen:GTRのイベントだけでなく、交流の機会にどんどん参加していこうという意欲が高まりました。英語での発表機会でも、今回学んだことを生かしていきたいです。

沖田:以前から、海外の先生をお呼びして講演会を開く院生企画をやってみたいと思っていました。そのためには「まず自分が英語を喋れないと!」と思ったことも、今回の院生企画を企画した動機なので、今後、学年が上がって忙しくなるとは思うのですが、実現できたらいいなと思います。
私は他大学の出身で、コロナ禍で人との交流が少ないときに名古屋大学に進学してきたのですが、院生企画がきっかけで、色々な人とつながりができました。人と関わっていくこと、自分が面白いと思うことを面白いまま進めていくことを、これからも意識して続けていけたらと思います。

(2023年4月オンラインにてインタビュー)