院生企画インタビュー「械学習×ChatGPT」
生成AIと機械学習をまとめて基礎から学べるセミナー
2024年4月17日(水)、GTR生による院生企画「機械学習×ChatGPT」が開催されました。
この院生企画は、生成AIや機械学習に関する最先端の知識を得るとともに、機械学習を用いた生物と化学の研究の実例を知ることで、自身の研究に新たな視点を取り入れてもらうことを狙いとして企画されました。
生成AIの分野で博士号を取得された今井翔太博士から、機械学習とChatGPTに関する基礎知識や最新の状況などをお話しいただき、赤木剛士教授と金子弘昌准教授にはそれぞれ、生物学と化学の研究での機械学習の活用事例をご講演いただきました。
講演後のパネルディスカッションでは、各話題をさらに深掘りしました。
当日の参加者は100名を超え、様々な分野で活用が広がる機械学習や生成AIに対する関心の高さがうかがえるイベントとなりました。
*企画者による詳しい活動報告はこちらからご覧いただけます。
企画概要
- 日時:2024年4月17日(水)13:00-17:00
- 場所:野依記念学術交流館2階ホール
- ポスター
院生企画インタビュー
機械学習も生成AIも、なんかすごそうだけどよく分からない!?
自分たちの手で「知りたい」を叶える
企画者としての学び・気づき
機械学習も生成AIも、なんかすごそうだけどよく分からない!?
Q.皆さんが企画者として参加しようと思ったきっかけや、この院生企画ができたきっかけを教えてください。
八神:昨年の7月に院生企画を考えるGTR内でのイベントがあって、今回の企画者は全員、その時のイベントに参加していたメンバーです。
近藤:グループに分かれて院生企画のテーマをブレーンストーミングして、出てきたのが機械学習でした。
鵜飼:私は、有志のメンバーで企画をやること自体に興味があったのと、近年、どんどん技術が発展して脚光を浴びている機械学習について勉強してみたいと思っていたので、企画メンバーに入りました。
伊藤:機械学習やAIには以前から興味はあったのですが、自分の研究にどんな風に取り入れられるかは分からなかったので、この機会に知りたいと思い、企画に参加しました。
近藤:所属している研究室では機械学習を取り入れた研究をしているメンバーもいるのですが、自分自身はそういった研究テーマではないので、他のメンバーの発表を聞いて「なんかすごいなあ」という印象を漠然と持っていました。ChatGPTについては、遊び半分程度には触ったことがありましたが、もっと体系的に理解して、自分の研究生活に取り入れられないかなと思っていたので、今回の院生企画はよい機会だと思いました。
八神:最初は、「何か院生企画やりたいな」と思って院生企画を考えるイベントに参加して、その中で出てきた機械学習というテーマが「今まさに熱い内容で面白そう」と思いました。純粋な好奇心で参加したという感じです。
自分たちの手で「知りたい」を叶える
Q.どんなイベントを企画されたのか教えてください。
伊藤: 化学と生物それぞれの分野で機械学習を取り入れた研究をされている方と、生成AIの研究をされている方にご講演をしていただきました。講演の後には全体でパネルディスカッションも行いました。
対象者としては、「既に使いこなしている人」ではなく「使ってみたいけれど、よく分からないと感じている人」を想定しました。なので講演では、機械学習の具体的な活用事例や生成AIの基礎を講義していただきました。
八神:基礎だけれど最新の内容なので、その知識を得るだけでも十分新鮮でした。自分の研究にどのように取り入れるか考えるために、「そもそもどういったものなのか」を知ることができて良かったと思います。
鵜飼:参加者の方からは、「機械学習やChatGPTを研究に取り入れるにあたって、初歩的な部分も含めて丁寧な解説があったのが良かった」という声をたくさんいただきました。「講義の後のパネルディスカッションで講義では触れられていなかった部分を掘り下げてもらえて良かったので、もっとパネルディスカッションの時間を取ってほしかった」という声もありました。
近藤:事前の想定では100名くらいの参加者を想定していたのですが、イベントの一週間くらい前に100名を越えてしまって、押さえていた会場を急きょ変更しました。たくさんの方に参加してもらえてよかったです。
企画者としての学び・気づき
Q.この企画をやってみてよかったことを教えてください。
伊藤: 私は、講演後に講師の先生に自分の研究で困っていることを直接お話ししたところ、アドバイスをいただいて実際に自分の研究で試してみることができました。院生企画をきっかけに自分の研究に直接役立つ情報を得られたことは、自分にとって成果でした。
近藤:今回のセミナーを受けて、自分の研究活動にChatGPTを取り入れるようになりました。例えばChatGPTにコードを書いてもらうことで、手作業でやっていたことの手間を省けるようになりました。
八神:ChatGPTのことをほとんど知らなかった後輩が、今回のセミナーに参加したことで、事あるごとにChatGPTを使って何かしようと試していて、この前、実際に研究で使えるプログラムを作ってきたんです。今回のイベントがきっかけになったようで、嬉しく思いました。
鵜飼:私も、「この前の企画すごく面白かったよ」という声をたくさんいただきました。
Q.たくさんの参加者を集められた要因や、参加者の満足度が高かった理由はどんなところにあったと思いますか。
近藤:かゆい所に手が届く内容だったと思います。世の中で生成AIが話題になっていますが、実際の所、きちんと理解して使えている人って案外少ないと思います。講演では、先生方が基本的な部分からかみ砕いてお話ししてくださったので、「なんとなくすごそうだ、でもよく分からない」と感じていた"もやもや"の部分を解消できたんじゃないか思います。
伊藤:事前アンケートの結果を早い段階で講師の先生方に共有していたので、参加者の層やニーズを踏まえて準備をしてくださったと思います。
八神:当初は化学と生物の研究者で機械学習を取り入れている方を2人お呼びするという企画内容を考えていたのですが、企画を進める中で、生成AIについても聞けたら面白そうだ、パネルディスカッションにしたら面白そうだ、という風にどんどん企画が膨らんでいって。そうやって企画が膨らんだ結果、注目してもらえる内容になったのかなと思います。
Q.企画メンバーのそれぞれの役割などを教えてください。
伊藤:私は講師の先生とのやり取りを担当していました。目上の方とのメールでのやり取りに慣れていなかったので難しさや大変さも感じましたが、お忙しい先生方に、いかに簡潔に短く要点を伝えるかを心掛けました。
近藤:こちらの意図を講師の先生に伝えたり、先生方が持っている面白さを理解してこちらに伝えたり、講師の先生とやり取りする役割ってこういった企画をする上ですごく重要だと思うのですが、それを本当に上手くやってくださっていました。 そういうことって今後たとえば融合研究を進めていく上でも大事だと思うので、一緒に運営に携わって自分も勉強になりました。
鵜飼:伊藤さんの明るさでミーティングが楽しい雰囲気になって、そのおかげで議論がより活発になったと思います。
八神:鵜飼さんは、直前の最終調整で抜けている部分に気付いてフォローしてくれたり、全体にすごく気を配って動いてくれました。
近藤くんは広報のための文面を色々考えてくれたのですが、人を惹きつける文章が上手い。
伊藤:八神さんがつくってくださった広報用のポスターもすごくよかったです。
鵜飼:院生企画経験者の八神さんの意見はすごくありがたかったですし、チームのメンバーに気を配りつつ率先して行動してくださって感謝しています。
近藤:パネルディスカッションの司会も担当させてもらったのですが、3人の講師の先生の研究内容や参加者の関心を踏まえて、面白さを引き出すにはどこを掘り下げる質問すればよいか、その場で即興で判断していくのが難しかったですが、すごく良い経験になりました。
Q.他に、企画者として携わってみてよかったと思うこと、学びや気づきはありましたか。
伊藤:ここにいる皆さんと仲良くなれたことが一番良かったことだと思っています。違う研究科の人たちとこんな風に一緒に議論するのは、院生企画でないと経験できなかったと思います。今回、企画を立ち上げて運営することを一度経験できたので、今度は自分の研究と結びつきのあるテーマでの企画をやってみたいと思いました。
鵜飼:色々な分野の方と一緒に企画の運営に携わることができて、とても楽しかったです。分野が違うと視点や意見も違って、それによって企画をどんどん膨らませていくことができて、勉強になりました。今回の院生企画の経験を活かして他の院生企画にも取り組んでみたいですし、後輩にもつなげていけたらいいなと思いました。
近藤:院生企画に企画者として関わったことで、フットワークが軽くなったと思います。一つの企画を完成させられた成功体験があるからこそ、また次やってみようと思えますし、「やってみようかな」と思ったことを実際の行動に移す心理的なハードルが低くなったと思います。これは研究だけでなく、この先のキャリアを歩んでいく上でも自分にとって良かったと思います。
これまでは、何かを企画したり他の人に協力を求めたりする時というのは、あらかじめ自分が色々なことを想定してしっかりと決めたものを持っていかないといけないんじゃないかという固定観念あった気がします。でも今回、他のメンバーが外部の先生方と交渉している様子を近くで見たり、企画が出来上がっていくプロセスを企画者として経験したりして感じたのは、インタラクティブなやり取りの中からどんどんアイデアが出てきて、その結果良いものができるんだなということでした。この感じを体感できたのはすごく良かったです。
八神:みんなで一つのものを作り上げるのがすごく楽しかったですし、当日、100人以上の人が集まってくれて、大きな会場でバーンと開催できたのも嬉しかったです。今後別の企画をやる上でも、今回の経験を活かせると思います。
(2024年6月オンラインにてインタビュー)
企画者
- 八神祐一郎(理学研究科 理学専攻 生命理学領域 博士後期課程1年)
- 近藤朗大(理学研究科 理学専攻 物質・生命化学領域 博士後期課程1年)
- 鵜飼明歩(理学研究科 理学専攻 生命理学領域 博士前期課程2年)
- 伊藤海結(創薬科学研究科 基盤創薬学専攻 創薬分子構造学講座 博士前期課程2年)
- 青山慶星(創薬科学研究科 基盤創薬学専攻 創薬有機化学講座 博士前期課程2年)