院生企画インタビュー「ポスターデザイン講習」
デザインのルールやテクニックを学び、「伝わる」研究ポスターを作る
2024年12月18日(火)、GTR院生企画「異分野の人と話そう!ポスターデザイン講習」が開催されました。 このイベントでは、2人の講師からわかりやすいデザインについての講義を受けた後、グループワークで実際のポスターを題材に改善点などをディスカッションしました。
講師は、千葉大学大学院の高橋佑磨准教授と名古屋大学ITbMの髙橋一誠特任講師。高橋佑磨先生は、研究発表のユニバーサルデザインに関して、書籍やウェブサイトで情報発信を行っており、配色やフォントなど、見やすく分かりやすいデザインのルールについて講義していただきました。サイエンスデザイナーの髙橋一誠先生には、研究をビジュアルで魅力的に伝える技術についてお話しいただきました。
翌月にGTR成果報告会でのポスター発表を控えており、参加者からは実践的な学びになったとの声が寄せられていました。
*企画者による詳しい活動報告はこちらからご覧いただけます。
企画概要
- 日時:2024年12月18日(火)13:00-17:00
- 場所:名古屋大学理学部C館219室
- 講師:高橋佑磨(千葉大学大学院・准教授)、髙橋一誠(名古屋大学ITbM・特任講師)
- ポスター


院生企画インタビュー
研究発表のポスター作成について学ぶ機会は意外に少ない
院生企画の魅力
企画運営から得られた学び
それぞれのNext step
研究発表のポスター作成について学ぶ機会は意外に少ない
Q.イベントを企画した経緯やきっかけを教えてください。
生路:今回、研究のポスター作成について学ぶイベントを企画しました。博士課程まで進むにあたって、ポスター発表は避けて通れないものです。私の場合は、先輩が過去に作成したポスターを参考にして作ることが多く、これまでポスター作成の基本を学ぶ機会はありませんでした。それで今回、そういったことを学べるセミナーがあれば良いなと思い企画しました。
北谷:今回お呼びした講師の高橋佑磨先生は、生物系の研究者でもあり『伝わるデザイン』というサイトを運営して情報発信や講演などもされている方です。もう一人の髙橋一誠先生はサイエンスデザイナーで、グラフィカルアブストラクトのようなビジュアル化に関するお話をしていただけたらと思ってお呼びしました。
小林:前半はそれぞれの先生に1時間程度の講義をしていただき、後半はその内容を踏まえて、参加者が持ち寄った実際の学会ポスターの改善点などをグループでディスカッションしました。参加者は30人くらいで、ポスター作成経験があまりない修士1年、2年の学生が多かったです。
山住:グループワークでは、「指導教官と結構話し合って作成したのに、まだこんなに改善点があるなんて」と若干落ち込んでいた方もいたのですが、それくらい活発に議論が行われていたのはよかったと思います。
小林:例えば色盲の方への配慮として、認識できる色を使うという観点は、自分にはこれまでありませんでした。講師の先生方のお話から、「プロはここまで気を配るのか」と驚きましたし、尊敬が深まりました。
山住:講義で、自分が普段使っているフォントは見にくいと知り、どんなフォントが見やすいかも教えてもらえたので、ちょうど数日後にポスター作成の機会があり、そこで早速実践しました。
院生企画の魅力
Q.企画者として関わろうと思ったきっかけや理由を教えてください。
箕浦:修士課程のうちに、一つのものを自分の手でつくり上げる経験をしてみたいという思いがありました。院生企画は、自分たちが今学びたいと思ったことや身につけたいスキルを学ぶ機会をつくれる仕組みで、そこが非常に魅力的だと思ったことも、企画者として参加した理由です。
山住:もともと院生企画を一回やってみたいなと思っていたことと、ポスターを作ることに苦手意識があったので、苦手を克服する機会になればいいなと思って参加しました。
小林:GTRにはすごい学生がたくさんいるというイメージが漠然とあって、そんな中でコミュニティを築いていけたら、自分としても成長できると思っていました。コミュニティを築く第一歩として、まずは何でもいいから企画者として院生企画に関わってみようと思いました。
生路:自分が学びたいことを企画として実現できることに魅力を感じて、企画者として参加しました。以前に高橋佑磨先生のセミナーを受けたことがあって、その時はスライドのデザインについてでしたが、ポスターに内容を絞ったセミナーも聞けたらいいなと思っていたので、今回実現できて良かったです。
北谷:自分の興味のあることに対して先生を呼んで講演をしていただけるなんて、普通は簡単にできることじゃないと思います。院生企画は自分がつくりたい講義を自分たちでつくれるのでそこが魅力的だと思います。ちょうどGTRの成果報告会でのポスター発表も控えていたので、そこに向けて学べてよい機会になりました。
企画運営から得られた学び
Q.企画の運営を通して、どんな学びや気付きがありましたか?
生路:これまで、誰かが企画をしてくださったセミナーを当たり前のように聞いていましたが、いざ自分が企画する側になると「こんなにも早くからいろいろと動かないといけないんだ」と、準備の大変さを実感して、良い経験になりました。
北谷:GTRの先生方に企画を提案する審査会があって、自分は当日に出席できませんでしたが、自分たちの企画にどのような意義があり、目的を達成できる構成になっているかについて問われたと聞きました。自分たちがやりたいことをしつつも、それにどんな意味や目的があるのかを考えて、目的を達成するための最適な企画内容を考える必要があることを学ぶ、良い機会だったと思います。
小林:審査会までに詰め切れていない部分もありましたが、そこが逆に気付きになりました。ブラッシュアップして申請書を書き直し、最終的にお金を勝ち取ることができました。
生路:自分たちがやりたいことを提案して、その資金を得る経験を修士1年から実践できたことは貴重な経験だったと思います。
小林:社会では、企画を提案して実施して、その企画に満足してもらうことで、お金が生まれているのだと思います。そういった社会の中で行われている当たり前のことを、大学院生でありながら経験できたことはとても貴重だと思いました。
最初は「自分たちがやりたいから」という理由で企画していましたが、申請書を書く際には「みんなに需要があるから」という角度から提案する必要があって、需要を満たす企画内容について考える重要性を学びました。
箕浦:GTR内での審査会後、開催までの期間が短くて準備が大変でしたが、終了後に参加者から「このセミナー、本当にすごく良かった」と言っていただけて、参加してくださった方にとっても学びがあったのだと感じることができて、やってよかったなと思いました。
山住:今回の企画は1月の成果報告会に向けて、ポスター作成に異分野の視点を取り入れる機会をつくることも狙いの一つでしたが、企画者として関わったことで、イベント当日だけでなく、企画者同士のやり取りからも、個人的に異分野の指摘から学ぶことが多かったです。例えば、「見やすいポスター」について、自分はシンプルで情報量が少ないデザインを考えていましたが、生路さんは分子構造などの詳細な情報が載っている方が興味深いと意見をくれました。求めている情報がそれぞれ違うことに気づけたことは学びでした。
生路:私はChatGPTを使う習慣があまりなくて、小林くんや大津さんが、いろいろなことにChatGPTを使っていたことがすごいなと思いました。企画を一緒に進める中で、他の人の仕事の進め方からも学びがありました。
山住:講師の先生の候補を探す際、みんなで情報収集をしたのですが、北谷くんのリサーチ力はすごいなと思いました。
「こんな人もいたんだ」「ポスターについてのセミナーで、こんな観点もあるのか」と、いろいろ気付きがありました。
北谷:小林くんのリーダーシップは素晴らしかったです。次にやらないといけないことを率先して促して前に進めてくれたので、それがすごく頼りになりました。
小林:最初はリーダーを意識はしていませんでしたが、引っ張る立場での経験は貴重でした。
それぞれのNext step
Q.最後に、今後に生かしたいことや、やってみたいことなどがあれば教えてください。
生路:やってみたい企画がいろいろあるので、その時にまたこのチームでできたらいいなと思います。例えばタスク管理や情報管理に興味があります。研究はマルチタスクだと思うので、そういったことも早いうちに学べたらいいなと思います。
山住:自分は、情報の検索スキルを身につけたいなと思っていて、目的の情報に的確にたどり着くスキルを学べる機会があったらいいなと思います。
あと、今回、ポスターの作り方を学んだので、さまざまな機会で実践していきたいです。専門が近い人に向けたものから異分野の人に理解してもらえるものまで、時と場合によって、「魅力的なポスター」の完成形も一つではないと思うので、いろいろ挑戦していきたいと思います。
小林:今回の企画運営は自分にとってすごく貴重な経験だったので、来年入ってくる後輩にもぜひその経験をしてもらいたいです。このメンバーでやるのももちろんですが、後輩のサポートもしていきたいと思います。
箕浦:今回の院生企画で、チームで一つのものをつくり上げる経験を通じて、人と協力することの大切さを学びました。研究も一人ではできなくて、人との協力が必要なので、今後に生かしたいと思います。
北谷:今回、自分が納得できて、他の人にも満足してもらえるものをつくれたと思います。将来、製薬系の企業に行きたいと思っているのですが、そこでの仕事はものづくりだと考えていて、今回の、みんなで協力して一つのものをつくるという経験はすごく役立つと思います。


(2025年1月オンラインにてインタビュー)
企画者
- 小林伊織(工学研究科 博士前期課程1年)
- 北谷宏仁(創薬科学研究科 博士前期課程1年)
- 大津岳士(工学研究科 博士前期課程2年)
- 箕浦有紗(創薬科学研究科 博士前期課程1年)
- 生路みのり(理学研究科(化学) 博士前期課程1年)
- 山住優斗(理学研究科(生命) 博士前期課程1年)