名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

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GTRセミナー / 最先端植物科学シリーズセミナー

この度、植物科学のさまざまな分野で活躍されている5名の若手研究者の方々をお招きして、最新の研究成果や今後の展開の方向性を議論する「最先端植物科学シリーズセミナー」の第3回の告知をさせていただきます。新進気鋭の研究者と直接議論できる絶好の機会ですので、大学院生、研究員、教職員の皆さま、ぜひご来聴ください。対面で行います。

日時:2022年8⽉22⽇(⽉)16:00-17:30
会場:農学部第8講義室
講演者:丸⼭⼤輔 准教授(横浜市⽴⼤学⽊原⽣物学研究所)
講演題目:受精時の精細胞のポジショニング制御における助細胞と卵細胞の機能解析

講演要旨:種子前駆組織である胚珠の内部には,雌性配偶子である卵細胞と中央細胞の他,活発な花粉管誘引物質を分泌する2つの助細胞が存在する.花粉管は誘引物質に導かれた後,助細胞との直接的な接触を経て2つの精細胞を含む内容物を放出する.これら精細胞が卵細胞と中央細胞を独立に受精させる「重複受精」は被子植物を特徴づける独自の生殖様式として知られている.精細胞が卵細胞へと届けられる仕組みの大半は,花粉管と助細胞の間の雌雄コミュニケーションの問題として理解されてきた.しかし,べん毛などの自走手段をもたない精細胞が放出時の勢いだけで受精の場へと到達するポジショニング制御機構は不明だった.われわれはシロイヌナズナの受精のライブイメージングにより,花粉管内容物が助細胞を貫通し,卵細胞と中央細胞の細胞間隙を広げて蓄積する様子を観察した.つまり,助細胞が花粉管に続くジョイントパイプとしての役割をはたすことと,卵細胞と中央細胞の剥離が生みだすドレイン構造の出現が,放出後の精細胞の正確なポジショニングを支えていると推測された.また,われわれはある卵細胞特異的な分泌タンパク質が,卵細胞と中央細胞の間にパッチ状の細胞外構造を形成し,細胞剥離に伴う精細胞ポジショニングを制御することも突き止めた.今回のセミナーではこれら通常の精細胞ポジショニングだけではなく,放出された花粉管内容物の行き先を受精領域から中央細胞へと変更する特殊経路「DEAD-End」の発見についても紹介する.

世話人:ITbM ⽊下俊則(kinoshita<at>bio.nagoya-u.ac.jp(<at>→@に変換))

今回のセミナーも含めた「最先端植物科学シリーズセミナー」の全体ポスターはこちらから