名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

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GTRセミナー / 最先端植物科学シリーズセミナー

この度、植物科学のさまざまな分野で活躍されている5名の若手研究者の方々をお招きして、最新の研究成果や今後の展開の方向性を議論する「最先端植物科学シリーズセミナー」の第5回の告知をさせていただきます。新進気鋭の研究者と直接議論できる絶好の機会ですので、大学院生、研究員、教職員の皆さま、ぜひご来聴ください。対面で行います。

日時:2022年9⽉16⽇(⾦)16:00-17:30
会場:坂⽥・平⽥ホール
講演者:⾚⽊ 剛⼠博⼠(岡⼭⼤学⼤学院環境⽣命科学学域・研究教授)
講演題目:ゲノム進化から紐解く「植物の性」の成⽴と揺らぎの進化

講演要旨:「性」は生物の種内遺伝的多様性を維持する根幹機構である。しかし、画一的な性決定機構を有する哺乳類とは対照的に、植物は両全性を起源とし、系統特異的に何度も独立して遺伝的な性別(雌雄性)を獲得してきたことが示唆されている。さらに、植物は「花」という単位に独立した性表現を持つことが出来るため、個体内における性表現が可塑的であり、この性の多様性は遺伝的・環境的な複合的バランスによって決定される。しかし、植物における性別決定を担う遺伝因子・分子機作はつい最近になるまで解明されておらず、その成立機構や多様性を駆動する進化過程も謎に包まれていた。
本発表では、われわれ日本人には馴染みの深い「柿」において、植物では初めてとなる性決定遺伝子であるOGIとMeGIを発見した研究から始まり、倍数体の栽培ガキ(柿)において、この性別が「揺らぐ」進化過程を解明した研究を紹介する。さらに、カキ属と同じツツジ目のマタタビ属(キウイフルーツ)においても、カキ属とは独立した性決定遺伝子Shy GirlとFriendly Boyと名付けた性決定遺伝子群の同定を行い、その進化過程をカキ属とともに比較することで、一見バラバラに見える植物の性進化の過程において垣間見えるゲノム進化動態の共通性を議論したい。

世話人:生物機能開発利用研究センター 芦苅 基行(ashi<at>agr.nagoya-u.ac.jp(<at>→@に変換))

今回のセミナーも含めた「最先端植物科学シリーズセミナー」の全体ポスターはこちらから