名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

EVENTS

GTRセミナー

10月11日(火)に下記の通りGTRセミナーを開催いたします。
ご興味のある方、ぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。

日時:2022年10月11日(火) 15:00 - 16:30
場所:理農館SA329
言語:日本語
講演者:北川 宗典 博士 Cold Spring Harbor Laboratory (Jackson Lab)
講演タイトル:RNAエキソソームのサブユニットは原形質連絡を介したホメオドメインmRNAの細胞間輸送を制御する

多細胞生物においてメッセンジャーRNA (mRNA)
はシグナル分子として細胞・組織・器官間の情報伝達に機能する。植物におけるmRNAの細胞間輸送は主に細胞壁に埋め込まれたナノチャネルである原形質連絡によって仲介される。例えば植物の幹細胞維持に働くKNOTTED1 (KN1) homeobox (KNOX) ファミリー転写因子のmRNAおよびタンパク質はこの原形質連絡によって細胞間を選択的に輸送され、非細胞自律的に幹細胞運命を制御している。しかしながら、このmRNA輸送のメカニズムは未だ多くが謎のままである。本研究では、真核生物においてRNAの分解・プロセシングに働くRNAエキソソーム複合体の触媒サブユニットRibosomal RNA-Processing Protein 44 (AtRRP44A) がKN1シグナルの細胞間輸送の制御に機能することを見出した。我々は順遺伝学的アプローチにより2系統のKN1輸送欠損変異体を単離した。それらの原因遺伝子はどちらもAtRRP44A遺伝子であり、変異体のAtRRP44Aでは真核生物で広く保存される触媒ドメインにアミノ酸置換が生じていた。AtRRP44AはシロイヌナズナのKN1ホモログSHOOT MERISTEMLESS (STM) が発現・機能する茎頂分裂組織で発現しており、遺伝学的解析はAtRRP44Aの機能が茎頂分裂組織の幹細胞維持におけるSTMの機能に重要であることを示した。またAtRRP44Aは原形質連絡に局在する能力を持つとともに、KN1 mRNAの細胞間輸送を制御することがRNA可視化技術によって示された。本セミナーでは、原形質連絡を介したホメオボックスmRNAの細胞間輸送および植物の幹細胞制御におけるAtRRP44Aの機能について紹介する。

キーワード :
原形質連絡 (プラスモデスマータ); KNOTTED1; SHOOT MERISTEMLESS; RRP44/Dis3; RNAエキソソーム

問合せ先:榊原均(sakaki<at>agr.nagoya-u.ac.jp(<at>→@に変換))