名古屋大学 卓越大学院プログラム

トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム

Graduate Program of Transformative Chem-Bio Research

EVENTS

GTRセミナー / アドバンス生命理学特論

京都大学の小川治夫先生をお招きし、GTRセミナー/生命理学特論として以下の日程で講演いただくことになりましたので、ぜひご参加ください。

講師 小川 治夫先生 京都大学大学院薬学研究科准教授
日時 1月24日 水曜日 15:00~16:30
場所 理学南館 ネオレックスセミナー室

要旨
クライオ電子顕微鏡法による生体分子の立体構造の解析数は2013年の「分解能革命」を境に急激な上昇をみせている。クライオ電子顕微鏡法は、これまで高分解能解析が可能な唯一の手法であったX線結晶解析と比べ大量の精製タンパク質や困難な結晶化も必要とせず、極僅かな水溶液試料から原子レベルの分解能を達成可能な手法である。
 本講演ではクライオ電子顕微鏡法を用いた解析例として、心筋の筋小胞体に局在し、心筋収縮の中心的働きを担う2型リアノジン受容体(RyR2)について紹介する。植物アルカロイドのリアノジンが結合する約550kDa膜巨大タンパク質が4量体となって機能するRyR2は、遺伝子変異(300箇所以上)によりCPVT等の重度の不整脈源性疾患を起こすことから、不整脈疾患の標的分子としても注目されている。RyR2はCa2+の結合により開口するが、「Ca2+のような小さな分子が6万倍も大きな超巨大分子RyR2を制御し開口する機構」や、「疾患変異がチャネルの活性異常を引き起こす構造基盤」については不明であった。だが、我々の行った高分解能の立体構造と徹底的な機能解析実験との組み合わせにより、RyR2のCa2+結合による開口機構と疾患変異がチャネル異常を引き起こす機構を原子レベルで明らかにすることに初めて成功した。

連絡先 成田哲博 (内線6473)