GTRセミナー
下記の通りGTRセミナーを開催しますので、是非ご参加ください。
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日時: 2025年10月2日(木) 16:30-
場所: 農学部第8講義室
演者: 嶋盛吾 博士, マックスプランク陸生微生物学研究所 グループリーダー
演題: ニッケル欠乏環境に適応したメタン生成代謝の変化
ほとんどのメタン菌はH2とCO2からメタンを生産する。通常、メタン菌の代謝を研究するための培養液は比較的高濃度のニッケルイオン(1-5 μM)を含んでいる。この条件で得られた菌体では、二種類の可溶性ニッケル含有ヒドロゲナーゼが使われている。一方、自然環境のニッケルイオン濃度は低く、数 10 nM程度である。我々はプロテオーム解析で、自然環境で見られるような低濃度ニッケルイオン環境(50 nM)では、可溶性ニッケル含有ヒドロゲ ナーゼの生産は抑制され、鉄のみを含む酵素([Fe]-ヒドロゲナーゼ、Hmd)がメタン生成代謝の主要なヒドロゲ
ナーゼになることを見出した。ニッケル欠乏条件では、電子不均化反応を触媒するヘテロジスルフィド還元酵素(Hdr)複合体の組成が変化し、ニッケル含有ヒドロゲナーゼ(Mvh)に代わって、ニッケルを含まないF420H2 依 存性酵素(Elp)が Hdrと複合体を形成する。この結果は、環境中のニッケル濃度によって、メタン生成代謝での電子の流れが大きく変化することを示している。S. Nomura, P. San Segundo-Acosta, E. Protasov, M. Kaneko, J. Kahnt, B. J. Murphy, S. Shima, Nature 644,490-496 (2025).
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本セミナーは生命農学研究科大学院集中講義の一環として実施されますので、単位取得を希望する学生は集中講義「メタン生成代謝から学ぶ酵素とコファクターの研究手法(10/2,3実施)」の受講申請(9/24締め切り)を行ってください。
問い合わせ先: 生命農学研究科, 邊見久 ✉ hhemmi<at>agr.nagoya-u.ac.jp (<at>→@に変換)