director.jpg

拠点長からのメッセージ


感染症から多くの命を救ったペニシリンや、生命科学の研究にパラダイムシフトをもたらした緑色蛍光タンパク質のように、分子には世界を変容させる力があります。私たちの夢は分子の力で世界を変えることです。ITbMは、2012年の発足から10年の節目を迎えましたが、これまでの第一章(ITbM1.0)では、最先端の合成化学、生物学、計算科学の融合研究によって、数多くの有望な分子を開発してきました。これらの分子の多くは製品化されるとともに、重要な生命現象の解明に貢献してきました。

今日地球では食料安全保障、気候変動対策、生態系の保護、健康的な生活の確保など、全人類の持続的な将来に不可欠な重要課題が山積しています。ITbMの第二章(ITbM2.0)では、これまでの研究をさらに加速・発展させることで、これら人類にとっての重要課題の克服を目指します。新規な分子構造には我々の想像を超えた新たな機能が宿っています。そんな分子の力で、植物や動物に存在する根源的な生命機能を解明することができれば、植物や動物の成長、繁殖、環境適応などの能力を最大限に引き出したり、様々な病気を理解、克服することが可能です。

ITbMではこれまで好奇心、ワクワク感が研究の原動力になってきました。ITbM2.0でも好奇心駆動型の異分野融合研究を全力で展開することで、分子の力で新たな分野を切り拓き、社会の重要課題の解決にチャレンジして参ります。このチャレンジを通して、分野の壁を軽々と乗り越え、新たな分野を切り拓く次世代研究者を育むとともに、世界中の優秀な研究者を呼び込んで参ります。
 

名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 (ITbM)
拠点長 吉村 崇